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大英博物館が世界第2位のミュージアムになった秘密
秋模様も深まりどことなく冬の到来を予感させるロンドンですが、昨日と今日は秋晴れで半袖で過ごせる気持ちの良い週末でした。前回のブログで大英博物館の話題作りの上手さについて触れました。その後「話題作り」とい視点で調べていたら面白い記事がいつくかあったので紹介します。
とりあえずはクーリエジャポンの「来館者が前年比100万人増!大英博物館、大躍進の秘密」とい記事をご覧下さい。
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大英博物館は来館者数世界第3位のミュージアムであるパリのポンピドゥー・センターを抑え、パリのルーブル美術館に次ぐ世界第2位になりました。記事には前年度を100万人上回ったとありますが、正確には約120万人増加らしいです!そして600万人を超えたことによりイギリスでは最も来館者数の多いミュージアムになりました。
劇的に数字を伸ばした背景には昨年の「秦始皇帝展」が大きく関係しています。同展示を目的に当初の見込みを倍以上も上回る85万人が6ヶ月の間に来館しました。85万人という数字は1972年の「ツタンカーメン展」(一年間で170万人)以来の記録的な来館者数で、「秦始皇帝展」はイギリスで最も成功したエキシビジョンのひとつになりました。
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この大成功はニール・マクレガー館長(Neil MacGregor、上写真)の存在をなしに語ることはできないでしょう。2002年から現在に至るまで大英博物館の館長を勤めるニール・マクレガー、実は同博物館の館長に就任する前はナショナルギャラリーで館長をしており、そこでも同様にニールマジックを遺憾なく発揮しナショナルギャラリーの発展に貢献していました。彼のマジックは実に策略的でエンターテインメントな方法です。例をあげると、BBCのドキュメンタリーに度々出演するなどメディアを巧妙に利用して人々の関心をひきつけることに成功したこと。また、政界にも人脈を持ちアートを政治に結びつけてることができたのも彼ならではの戦略です。「秦始皇帝展」のオープニングにブラウン英首相を招待したのがその証拠ですね。一般社会と政治社会の間で絶妙なバランスを保ち、その二つの社会を巧みに操作するのがニールマジック(勝手に命名)と言われる所以なのでしょう。

ニール・マクレガーはユニークな経歴を持っています。言語学から哲学、法律、芸術に至る広範囲な学問を学び、1987年から2002年までナショナルギャラリーで館長を務める前の6年間はBurlington Magazine、創刊100年以上の名声のあるアートジャーナル誌の編集者をしていました。ナショナルギャラリーでの館長12年目の1999年、国家への功労が讃えられナイトの爵位申し出がありましたがそれを断っています。今までミュージアムで働いた経験のない外部の人間をナショナルギャラリーのトップとして招くのは凄く異例だと思いますが、輝かしい功績を残しているので議論の余地なしで彼をヘッドハンティングして正解でした。

大英博物館は古くから観光の目玉でしたが、ここ数年で大躍進を遂げ、改めてイギリスナンバーワンの観光スポットになったと言えるのではないでしょうか。常に新しい取り組みを続ける大英博物館から目が離せません。


The British Museum

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by uk-now_yk-now | 2008-10-13 06:51 | Gallery&Museum


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